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驚きの現場レポート

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東京湾盤洲干潟で見つけた絶滅寸前のハマグリ!


■東京湾の原風景 奇跡の盤洲干潟

東京湾にこんなところがあるのだろうか?たくさんの生き物、透き通った海水、絶滅寸前の貝、人々の歓声・・・こんなにごく身近に自然に親しめるところがあるとは、誰が想像できるでしょうか?

2005年5月、7月、私は、NPO盤洲里海の会主催の生き物観察会に参加しました。

盤洲干潟・・・千葉県木更津市,小櫃川河口域周辺に約16平方キロメートル(東京湾漁業研究所測定)の河口干潟、盤洲干潟は、底質が砂で形成されている砂質干潟では日本最大といわれています。

■2005年5月、アクアラインの橋脚下

2005年、大型の車が轟音を立てて走っている東京湾アクアラインの橋脚下の干潟を訪れました。干潟のくぼみにたまっている海水は透き通り、砂底に落ちているゴカイのフンがよく見えます。傍らではボラやハゼの稚魚が悠々と泳いでいます。

沖の干潟では,きれいな水にしか生息出来ないニシキウズガイ科のイボキサゴという巻貝が大量に見つかりました。あちこちにあいている穴に食塩を降りかけると煙突のような形をしたものがニュッと砂から飛び出します。

刺激を受けて慌てて出てきたマテ貝です。捕獲した貝やニホンスナモグリを砂の上に放っておくと、今度は穴を掘って潜る様子が観察出来ます。小さな命が盛んに動く姿は子どもだけでなく大人にとっても魅力的です。

少し歩くと千切れたオゴノリやワカメなどの海藻、ゴカイの卵やフン、ツメタガイの卵があちらこちらに落ちています。マメコブシガニはツガイでいる姿をよく見ました。一般的にカニは横に歩くのですが、このカニは前に歩きます。その姿がヒョウキンです。
 
■2005年7月、干潟の心臓部、小櫃川河口

昔ながらの東京湾の風景を奇跡的にとどめている場所です。海岸ギリギリまで埋め立てられ、波が洗う前浜と呼ばれる部分しか残っていない干潟が多い中で、盤洲干潟にはヨシやアシが生い茂り海水と真水が流れ込む後背湿地と呼ばれる部分が残っています。湿地帯のひときわ高くなった場所にはわずかながら松林も残っていました。

このような陸から海への移行部分が残された場所には多様な動植物が生息しています。盤洲干潟・小櫃川河口域で確認された生物は,植物約350種,野鳥128種,魚類60種に及びます。

「干潟の生物の多様性を守るにはいろいろな干潟の環境がなくてはならない。盤洲干潟は研究や環境保全を考える上で非常にいい場所です」と指導者の東邦大学、風呂田利夫教授は絶賛しました。

アイアシやヨシの湿原が続く道を歩いていると、セッカやオオヨシキリらしい鳴き声が響いています。足元にはアシハラガニやアカテガニの姿をたくさん見かけます。わき道から中州に出ると、無数のチゴガニがリズミカルにハサミを上下に動かしています。まるでダンスをしているよう。人が近づくと一匹残らず穴の中に隠れてしまいますが、人の姿が遠のくと穴から出てきてダンスを再開します。それが面白くて女の子が何度もチゴガ二の巣を行ったり来たり・・・そのたびに、チゴガ二が一斉に姿を消します。少し高くなった場所にはシオクグやハママツナの植物が繁殖しています。アシやヨシと同様に海水に強い植物です。

小櫃川河口に出ると、彼方対岸に川崎の工場地帯が見えます。改めて「ここは東京湾だ!」と思い出させられる一瞬です。アクアラインの下から河口周辺に広がる干潟一帯はドブ臭さなどの異臭は一切ありません。とても心地よい環境なのです。

川村久幸氏(木更津市会計室長・経済学博士)によれば、盤洲干潟は人口14万人規模の処理場の浄化能力があるそうです。干潟に生息する多様な生物層の営みによる働きのおかげです。昔の干潟の姿が残っているのも奇跡ですが、都会のすぐ近くで機能する干潟の働きにも奇跡的な力を感じます。さらに、干潟は夏涼しく冬暖かく、ヒートアイランドにも効果的。真夏の都心温度に比べるとここは5度も低いのです。

■絶滅のハマグリを発見!!!

湿地帯から前浜干潟へ出ました。チゴガニ、コメツキガ二、オサガニ、ケフサイソガニなのカニ類が目に付きます。沖に向かって歩いていくと今度は貝類が目立ってきました。

「浜辺近くでは、海水が干上がっても、出て来て餌を捕獲出来るカニ類が多いですが、沖に向かう程、貝類が多くなります。水の中に浸かる時間が長くなる分だけ餌をとる時間も長くなり、沖合いで新鮮なプランクトンが豊富な水を利用することができるからです」と風呂田教授は説明していらっしゃいました。

沖合いで、絶滅の危機に瀕しているウミニナが見つかりました。そして、何とこの日、東京湾では絶滅したと思われていた古来のハマグリが見つかったのです!!!

ハマグリは全国的にも珍しくなっています。在来種とされるハマグリ類は外洋性のチョウセンハマグリと内湾性のハマグリがあって、チョウセンハマグリは九十九里浜に数多く生息しているのですが、ハマグリは限られた地域にわずかに生息しているだけなのです。

特に今回見つかったものは,東京湾の縄文貝塚で出てくるものと同じ形をしていて殻の左右の一辺が長くなっている固有な形をしているということです。今まで東京湾でわずかに見つかっていたハマグリとは明らかに違うというのです。古来のハマグリが生息していたとなれば、ビッグニュースです。そして、それは盤洲干潟には昔ながらの生態系が残っているということを意味することになります。

■未来へわたす干潟!みんなで貴重な自然を残そう

干潟観察会を主催したのは、NPO法人「盤洲里海の会」です。理事長の金萬智男氏を含む発起人10名はほとんどが地元の漁師さん。

「干潟の埋め立てが始まり,東京湾から多くの漁師が陸に上がりました。残る漁師もいつかは我が身…。先を考える余裕なく乱獲に駆り立てられたのも確かです。

しかし、環境問題がクローズアップされ、永続可能な漁業に視点が移る今、漁師の存在は海では欠かせない生態系の一部です。漁師がいなくなったら海は無法地帯となり生態系は崩れるでしょう」と金萬氏は語ります。

埋め立てや上流でのダムの整備、山の破壊によって、干潟はやせていく一方です。生物層も貧弱になっていきます。干潟のすぐ側には巨大ホテルが出来ました。区画整理事業も止まったわけではなく羽田空港の再拡張事業も進行中です。東京湾の自然を破壊する人間はいても見方する人間はとても少ないのです。そればかりか、都会にいると人間が自然の一部だということを忘れてしまうことすらあります。

干潟に立つと、自分はカニと同じように地球の住人であることを思い出します。干潟は多くの命を誕生させた場所だからなのでしょうか…まるで、原始のDNAが呼び覚まされるようにも思います。自分が生態系の一部であると自覚したとき、誰でも干潟を守ることは自分を守ることだと気がつくのかもしれません。

人と地球はつながっていると実感した一日でした。

■NPO盤洲里海の会

盤州里海の会〜海のめぐりの里つくり
http://www.satoumi.net/url14.html


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